売上が高く、儲かる飲食店を経営するためのメニューの考え方

戦略の考え方

吉野家の新メニュー

 牛丼店のチェーン展開をする株式会社吉野家が、傘下店舗にて明日3/7(水)から新メニューを投入することが報道されました。

 その新メニューとは、牛肉を特盛の1.2倍、ご飯は特盛と同じとした「超特盛り」、牛肉とご飯の総量を4分の3にした「小盛り」です。これにより、従来の「特盛り」「大盛」「アタマの大盛」「並盛」に加えて全部で6種類のサイズ構成となります。

 吉野家は、この新メニュー投入について、多くの顧客の要望があった、としていますが、顧客の要望には様々なものがあります。その中で、今回は「量」に着目しましたが、この事例を参考に、ロードサイド店舗の一類型である飲食店のメニューを構成するラインとアイテムについて見ていきたいと思います。

ラインとアイテム

 ラインとは、商品の種類、価格、品質などについて、同質のグループであり、その広さがポイントとなります。例えば、居酒屋さんのメニューで、焼き鳥、お刺身、焼き物、揚げ物、サラダ、といった分類を指し、これが多いとラインが広い、と言います。

 アイテムとは、特定のラインを構成している商品群の最小単位であり、サイズやカラーで分けられ、その深さがポイントとなります。焼き鳥であれば、3本盛り、5本盛り、10本盛り、サラダであればハーフサイズ、レギュラーサイズといった分類を差し、これが多いとアイテムが深い、と言います。

 多くの飲食店は、顧客の要望によってラインを広げる方向に走りがちです。単品メニューの書かれた黄色い紙が壁一面に貼られている居酒屋さんなどがその事例として挙げられます。ですが、ラインの広げすぎは、自店の専門性を薄めていくとともに、食材の廃棄ロスが発生する可能性も高まります。

安易なラインの拡大が招くリスク

 例えば、蕎麦屋さんは、蕎麦の他にカレーライスやカツ丼をメニューに加えているケースが多いのですが、これは、蕎麦つゆの出汁を活用できるからです。しかし、そのような相乗効果を検討せず、単にラインを広げて、メニューを豊富にしようと、サーロインステーキやにぎり寿司を新メニューとして投入することは、蕎麦屋さんとしての専門性を顧客に訴求しにくく、新メニューの注文数もさほど期待できず、食材の廃棄ロスが発生します。

 そのような観点からは、今回の吉野家の新メニュー投入のように、ラインを広げるのではなく、アイテムを深くする方向性は有効と言えるでしょう。
 株式会社ペッパーフードサービスが全国で展開する「いきなりステーキ」がグラム単位でステーキを提供している事例も同様の考え方になります。

 そして、この「量」に着目すると次のようなメニュー展開も可能となります。

ステーキの単位は「グラム」、焼き鳥の単位は「本」

 繰り返しになりますが、「いきなりステーキ」はステーキをグラム単位で提供します。また、一般的に焼き鳥は本数単位で提供します。

 よって、前述のように焼き鳥のアイテムは、3本盛り、5本盛り、10本盛りなどになるわけですが、これをグラム単位で提供すれば、新メニューになります。

 また、焼き鳥は焼き上げた肉を串に刺さったまま口に咥え、串から外す際に旨味が出る、と言いますが、複数人で焼き鳥を食べる場合は、焼き上げた肉を予め皿の上で串から外してシェアするケースが多いわけです。
 であれば、グラム単位で提供する場合は、焼き上げた肉を串から外して提供することで、顧客満足が高まるとも言えるでしょう。

 売上が高く、儲かる飲食店を経営するためのメニューの考え方として、安易にラインを広げるのではなく、上記のようにアイテムを深める方向も検討するに値すると考えますがいかがでしょうか。

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