開業したばかりの飲食店が来店者を増やすためのポイントとは

戦略の考え方

開業初月は好調だったお好み焼き店

 そのお好み焼き店は、10月に開業しました。開業初月は、広告宣伝を何もしなかったにも関わらず、客足は順調でしたが、11月になって客足は激減し、売上ゼロという日が続くことも珍しくなくなりました。特に平日にそのような日が多いとのことでした。

 バブル期においしい思いをした経営者は結構いると思います。製品を作れば売れた、商品を店頭に並べれば売れた時代です。とにかく一生懸命作る、とにかく一生懸命仕入をして並べる、そうすれば儲かりました。
 その頃のおいしい思いが体内の細胞レベルにまで、すり込まれてしまうと、今はそういう時代ではない、と頭では分かっていても、どこかで、いい時代が来るのではないかと思っていたりします。そのような思いは、言葉の端々に出るものです。

 上記のお好み焼き店も同様かもしれません。「開業初月に広告宣伝を何もしなかった」こと、それにも関わらず「客足は順調」だったという発言から、そのような思いが伺えます。
 これから地域の皆様と長いお付き合いをしていこうとするお好み焼き店が、開業のご挨拶などの広告宣伝を行わなかったこと、順調な客足を途絶えさせないための取組みをしなかったことは、作れば売れる、並べれば売れる、という時代に商売をしていた事業者と本質的に変わりはないのではないでしょうか。

創業直後のご祝儀需要

 米国の社会学者エベレット・M・ロジャーズは、まだ普及していない新しいモノやコトがどのように組織や社会に普及・伝播するのか実証的研究を行い、そのモノやコトを採用する時期によって採用者を下記5つのカテゴリに分類しました。

 ・イノベーター(革新的採用者):新しもの好き、冒険的で新しいモノやコトを最初に採用する層。全体の2.5%を占めると言われる。
 ・アーリーアダプター(初期採用者):自ら情報を集め、判断を行い、比較的早期に新しいモノやコトを採用する層。全体の13.5%を占めると言われる。
 ・アーリーマジョリティ(初期多数採用者):比較的慎重で、アーリーアダプター(初期採用者)に相談をしてから、追随的に新しいモノやコトを採用する層。全体の34%を占めると言われる。
 ・レイトマジョリティ(後期多数採用者):疑い深く、世の中の普及状況を見ながら、模倣的に新しいモノやコトを採用する層。全体の34%を占めると言われる。
 ・ラガード(採用遅滞者):非常に保守的・伝統的で、どちらかというと新しいモノやコトに否定的な層。全体の16%を占めると言われる。

 開業初月に客足が順調だったのは、イノベーターとアーリーアダプターによる「ご祝儀需要」であり、ご祝儀はいつまでも続かないという当たり前のことを認識しておく必要があります。そこで、これらの層が再来店したくなる仕掛けを考えるとともに、まだ来店していないイノベーターに働きかける必要があります。
 そして、イノベーターとアーリーアダプターの取り込みに成功すれば、アーリーマジョリティ以降の顧客を取り込むことも可能となります。

既存顧客と新規顧客両方を取り込んでいく

 まず、「ご祝儀需要」で来店して下さった顧客が、再来店したくなる仕組みを検討する必要があります。手っ取り早いところでは、スタンプカードやポイントカードがあります。
 また、より顧客との関係性を深めたり、自店の紹介をしたりするのであれば、ニュースレターの発行や顧客を管理していくことも検討しましょう。なお、ニュースレターの発行や顧客管理で成功した事例を取り上げたコラムが以下となります。
 【参考記事】
 売上が低下しつつある店舗のリピーター増加策
 儲かるロードサイド店舗の顧客管理

 また、リピーターの取り込みと併せて、新規顧客を集客していく必要もあります。インターネットの活用やチラシの新聞折込みなどを活用して、広く網をかけていくイメージです。なお、インターネットの活用例、チラシの新聞折込みの活用例を取り上げたコラムが以下となります。
 【参考記事】
 儲かるロードサイド店舗がwebで情報発信する戦略をとる理由
 儲かる人気の洋菓子店が行うチョコレートの打ち出し方とは

 このような取組みは、開業したばかりのお好み焼き店にとっては、費用面で負担が大きいかもしれません。ですが、本来は、開業費用として見込んでおかなければいけない項目であり、必要経費であったはずですから、なんとか費用を捻出する必要があります。

 開業したばかりの飲食店が来店者を増やすためのポイントの1つとして、本来かけるべきはずの広告宣伝費をちゃんとかけているか、という点が挙げられると思いますがいかがでしょうか。

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