ガソリンスタンドで顧客データを活用した販売時に陥りやすい罠

経営の姿勢

 同じ事実でも、人によって解釈には差があるものです。そこで、顧客データを活用してガソリンスタンドの販売力を向上させるには、スタッフがなぜデータをそのように解釈したか、その根拠を明確にすることが重要です。

 タイヤやエンジンオイルといった燃料油以外の商品を油外商品と言いますが、燃料油の収益が安定しない状況の中、油外商品の販売に取組むガソリンスタンドが非常に多いわけです。

 この場合、顧客データを販売に活用するケースがありますが、今回のコラムでは、この顧客データとスタッフの解釈が販売にどう影響するのかについて見ていきます。

車両ナンバーと接客履歴を紐づけた販売

 私は、ガソリンスタンドの現場に身を置いていた頃、車両ナンバーと接客履歴という顧客データを紐づけた仕組みによる販売をしていました。

 当時の私は、セルフサービスのガソリンスタンドで店長をしていましたが、顧客が給油中に、スタッフがタイヤの空気圧点検や会員カードなどのお勧めをしていました。このようなお勧めをすると「空気圧は自分で見る」「会員カードは要らない」といった何らかの反応があるわけです。

 それを受け、当店のスタッフは、顧客が退店する際に、車両ナンバーとこの反応などの情報を以下のようにメモしておきます。

 〇年〇月〇日 品川500さ1234 「空気圧は自分で」 担当:△△

 このようなメモをスタッフ全員にとらせ、その内容を店頭にあるノートパソコンを用いてエクセルに入力していました。横軸に「年」「月」「日」、「地域」「種別」「かな」「ナンバー」、「接客内容」、「担当」をとり、上記のメモ内容を各セルに入力します。

 これにより、接客する前に、来店した車両の4桁のナンバーについてフィルター機能を使って検索することで、前回の接客内容を踏まえた接客が出来ることとなります。例えば、前回の接客内容が「次回タイヤ交換」であることが分かれば、それを踏まえてタイヤ交換をお勧めできることになります。

 しかし、セルフサービスならではの悩みもありました。

声を掛けられること自体を嫌う顧客

 セルフサービスのガソリンスタンドを利用される顧客の中には、スタッフに声を掛けられるのを嫌がる顧客がいます。それが嫌だからフルサービスではなくセルフサービスの店に来店されるわけです。よって、そのような顧客にスタッフが声を掛けた場合、露骨に嫌な態度を示されます。

 この場合、以下のメモが出来上がります。

 □年□月□日 足立580あ5678 「声掛け×」 担当:◇◇

 当然これも店頭のノートパソコンを用いてエクセルに入力することとなります。そして、この「声掛け×」の件数が非常に多いのです。いざ接客しようとして車のナンバーで検索すると「声掛け×」のデータが出てきた場合、その顧客に接触できないことになります。

 ところが、この状況に風穴を開けたスタッフがいました。 

「声掛け×」は解釈

 ある日、ある若手スタッフがセルフサービスで給油している顧客に接客をしている様子を見た私は、なんの気なしに店頭のノートパソコンを見ました。すると、その若手スタッフがエクセルで検索したであろう結果が表示されていました。

 その検索結果は、接客中の顧客の車両ナンバーが示され、前回の接客内容が「声掛け×」でした。しかし、その若手スタッフはその顧客に油外商品の販売は出来なかったものの、にこやかに談笑していました。

 その顧客が退店した後に、私は、その若手スタッフに「今のお客さんは君の知り合いですか?」と聞いたところ、そうではないとのこと。
 そこで「『声掛け×』と出ていましたが、何か声を掛けるきっかけがあったのですか?」と聞いたところ、彼は、このように答えました。

 「アルバイトのA君ですけどね、この人、顧客の反応のほとんどを「声掛け×」と捉えてしまうんです。ですから、車両ナンバーを検索して「声掛け×」と出た場合であっても、A君が担当の「声掛け×」であった場合は、声を掛けに行くことにしているんです。」

 もう一度パソコンの画面を見ると、今の顧客に前回接客していたのはA君であり、A君が「声掛け×」としていたことが分かりました。

 A君の「声掛け×」を販売チャンスと解釈するこの若手スタッフの姿勢を受けた私は、全スタッフに「声掛け×」とメモしたくなったら、そのように解釈した根拠を出来るだけメモしてもらうようにしました。

 すると一概に「声掛け×」とは言えないような内容も出てきました。例えば、「急いでいる」とスタッフに言った顧客が「声掛け×」になっていたりしていたのです。

 ガソリンスタンドの販売力を向上させるには、仕組みが重要です。しかし、仕組みを運用するのは人間であり、人間には解釈の差があります。

 ガソリンスタンドで顧客データを活用した販売時に陥りやすい罠は、解釈というデータを事実として捉え、それに基づいた行動をとってしまうことです。その解釈の根拠を明確にすることにより、事実に基づく販売ができることとなります。

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