モチベーションを向上させ活気あるロードサイド店舗を作るには

モチベーション

あるガソリンスタンド店長の悩み

 あるガソリンスタンドの店長の悩みに触れる機会がありました。その店長は、長年店舗のナンバー2として活躍してきましたが、昇格を伴う異動により、同じ社内の他店へ店長として赴任してきました。

 赴任した店舗はフルサービスのガソリンスタンドであり、人員構成は、社員はその店長のみ、他のスタッフ6名は全員がアルバイトで、そのうちベテランと呼べる方が4名、学生が2名です。

 この店長は、ガソリンスタンドには活気が必要と考えており、1人が「ありがとうございます」と言うと全員が「ありがとうございます」と発声する声出し・山彦唱和をしたり、接客中はてきぱきと小走りで作業したりすることを重視しています。

 しかし、赴任した店舗の既存スタッフは、そのようなことをしたりしなかったりという状況で、各人に注意をするものの、行動が改善されないことを悩んでいました。

 本社に相談すると「ガソリンスタンドは不人気の職種だから人材を大切にしなさい。お前も多少は我慢しなさい」と言われ、この店長が抱える問題の解決策になっていません。

 この状況を解決するには、この店舗の以下の特徴を踏まえた取組みを行うことです。

 ①店長は、初めて店長に登用されたこと
 ②スタッフは、ベテランが多いこと
 ③本社は、店長に向き合っていないこと

スタッフの行動を承認する

 まず、1つめの特徴である「店長は、初めて店長に登用されたこと」ですが、初めて店長になった時というのは、よっぽど嫌々引き受けた場合でない限り、誰でも張り切ります。その張り切りに周囲がついて来ることが出来れば良いのですが、そうでない場合は、空回りしてしまいます。

 特に、他店から異動してきて、赴任先の店舗に慣れていない状態であることを既存のスタッフは知っていますし、意地悪な表現をすると、新店長のお手並み拝見、といった意識が働きます。特に、長年この店で働いてきたという自負のあるベテランにそのような意識は働きやすいはずです。

 そのような中、店長が「声が出ていない、走っていない」といった注意をしてもうるさく感じるだけなのかもしれません。

 まずは、スタッフが声出し・山彦唱和をした時、走って接客をした時に「さっき声を出していましたね」「あの時、小走りでテキパキ接客していましたね」と承認という報酬を与えることです。店長が考える望ましくない行動を削減するのではなく、望ましい行動を増やすことが必要です。

ベテランスタッフに相談する

 2つめの特徴である「スタッフは、ベテランが多いこと」ですが、ベテランは、前述の通り、この店で長く働いてきたという自負がある方が多いです。そのような方々の行動を頭ごなしに否定すれば、反発を招くことこそあれ、従順に指示を受け入れることは難しいでしょう。

 そこで、彼らの自負を活用することが重要です。声出し・山彦唱和や駆け足を通じて活気のある店舗を作りたいのなら、店長としてそのように思っていることを伝え、この店では、どうすれば活気が出るのかを相談することです。

 相談されるというのは、それだけで相談に値する人間だと認めてもらったという嬉しさがあります。「赴任したばかりで解らないだろうけれど、この店は・・・」といった特殊事情も話してくれるかもしれません。
 また、場合によっては、声出し・山彦唱和や駆け足が無くても活気が出る方法が見つかるかもしれません。

 そのような関係性の構築から「一肌脱いでやるか」という想いで、声出し・山彦唱和や駆け足を行ってくれる可能性も高まってきます。

本社はパフォーマンス・キラーになっていないか

 3つめの特徴である「本社は、店長に向き合っていないこと」ですが、この本社はパフォーマンス・キラーに該当します。

 パフォーマンス・キラーとは、コーチングで用いられる用語で、組織メンバーを激励し指導しようとしているつもりでも、メンバーのモチベーションを下げたり、自信を喪失させたりしている関わりのことを言います。

 このパフォーマンス・キラーには次の3つの類型があるとされています。

 1.メンバーの行動を認めず、評価を下す
 2.メンバーの意見を受け止めず、問題解決に走る
 3.メンバーや問題に向き合うことなく、逃避する

 この事例の本社は上記「3.メンバーや問題に向き合うことなく、逃避する」に該当します。そもそも「ガソリンスタンドは不人気職種だから」と店長に言っている時点で、店長のモチベーションは下がります。

 ましてや、昇格したばかりの店長経験に乏しい人材ですから、膝を交え、しっかりと話を聞く必要があるでしょう。店長としては、解決策を見出せなくても、本社がバックアップしてくれているという安心感は、何物にも代えがたいエネルギーとなり得ます。

 モチベーションを向上させ活気あるロードサイド店舗を作るには、スタッフの働きを承認すること、ベテランスタッフに相談すること、本社は店長の話を傾聴すること、といった取組みが考えられます。

パフォーマンス・キラーに関する参考コラム

 ■上司が発してはいけない油外販売のモチベーションを下げる言葉
 ■店長のモチベーションを上げて儲かるガソリンスタンドにするには
 ■ガソリンスタンドにおける油外販売のモチベーションを上げるコツ

メルマガ会員様募集中

 メルマガ会員様には、リアル店舗の現場経験20年以上、コンサルティング歴10年以上【通算30年以上のノウハウ】を凝縮した【未公開のコラム】や、当サイトに掲載したコラムの【解説動画URL】を優先的に配信しています。
登録はこちらから
↓↓↓

お探しのページが見つかりません。

電子書籍のご案内

 1年で70人のアルバイトに辞められたガソリンスタンド店長が人材に全く困らなくなった理由:育成編~人材が育つ職場と人材に見放される職場の境界線~
2020年3月15日発行 定価1,055円

タイトルとURLをコピーしました