ガソリンスタンドが洗車を無料で提供するべきではない理由

戦略の考え方

集客の道具としての洗車

 あるガソリンスタンドでは、ガソリンもしくは軽油を20ℓ以上給油すると、洗車補助券というものが1枚もらえます。これが5枚たまると、洗車が1回無料になります。この制度を導入した意図は、客数を確保するため、というものでした。

 店頭でポイントカードを発行し、一定量のポイントが貯まると割引もしくは商品との交換を行うという販促策はよく目にします。上記の取組みも本質はこのポイントカードと同様です。ですが、洗車を無料にするという発想は、顧客にとっても店舗にとっても好ましいものではないと考える理由について見ていきたいと思います。

中小企業診断士の資格を更新する要件

 国が認めた経営コンサルタントである中小企業診断士は、5年毎にその資格について更新手続きをしなければなりません。この時に更新の要件を満たしている必要があります。
 更新要件は、5年間で5回の更新研修を受けていること、5年間で30日以上のコンサルティング(実務従事)を行っていること、の2点です。そして、後者の要件を満たしていることを証明するためにコンサルティングを受けた企業が実務従事証明書に捺印をします。

 5年間で30日以上のコンサルティングを行うことは、独立している診断士であればハードルは低いのですが、企業内診断士のうち、コンサルティング業務に従事していない方は、ハードルが高くなります。
 そこで、知り合いの企業などを見つけてきて、無料でコンサルティングを行い、診断報告書などを作成し、実務従事証明書に会社印を押していただきます。

無料の弊害

 この場合、コンサルティングを受ける企業は費用負担がありません。よって、診断士が作成した診断報告書のレベルが低いものであっても「無料だからこんなものか」と思います。コンサルティングを行う診断士も「無料だし」という言い訳がどこかにあるのかもしれません。

 これが、仮にコンサルティングを受ける企業が診断士に対価として148万円を払ったとします。この場合、診断士が作成した診断報告書のレベルが低かったら、「金を返せ」となるでしょう。そうならないために診断士は価格以上の価値を提供するべく、真剣にコンサルティングに取り組むわけです。

 無料洗車も同様です。洗車機を通すだけならまだしも、その後の洗車仕上げ作業は、決して楽な作業ではありません。混雑時はなおさら厳しいものになります。
 その場合「タダだから」という理由で洗車仕上げの品質が落ちてしまうケースは多々あり、これに対して、顧客は「タダだから」という理由でそれを受け入れてしまう。これは双方にとって良いことではないでしょう。
 つまり、無料以上の価値はあったとしても、それが顧客の求める価値にほど遠い場合、顧客は店舗に失望する、ということです。

 ガソリンスタンドが洗車を無料で提供するべきではない理由は、価格に見合った価値を提供するという商売の本質を見失わないため、と言えるでしょう。

洗車に関する参考コラム

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