油外収益拡大のためにガソリンスタンドが使える補助金を活用する

戦略の考え方

ガソリンスタンドにおける車の整備

 酷暑の中、ガソリンスタンドの現場で仕事をされているスタッフは、当然のことながら、汗まみれになります。体内の水分が汗として排出され、朝から晩まで一度もトイレに行かなくてもよいくらい汗をかきます。特に汗まみれになるのが車を整備する際です。

 さて、車の整備は大きく分けて以下の2種類があります。
 ①エンジンオイル交換やバッテリー交換などの分解を伴わない整備
 ②ブレーキ部品の一つであるブレーキパッド交換やエンジン部品の一つであるタイミングベルト交換などの分解を伴う整備

 ①の分解を伴わない整備を行うには、特に資格は不要ですが、②の分解を伴う整備を行うには、認証工場(分解整備工場)の資格を保有することが必要です。この認証工場の資格を得るには、その店舗・工場に、一定の作業場の広さや整備士の数などが必要となっています。

 しかし、ガソリンスタンドは、認証工場の資格を取得する前提で店舗を建設していないケースが多いため、作業場の広さを確保することができないことから、認証工場の資格を取得できない店舗が多いのです。
 そこで、前述のエンジンオイル交換やバッテリー交換などの、分解を伴わない整備でガソリン以外の油外商品を販売し、収益の向上に努めています。

 しかし、長期間交換不要のオイルが開発されたり、電気自動車においては、バッテリー交換自体が不要であったりするなど、分解を伴わない整備は減少する傾向にあります。

 つまり、分解を伴わない整備は苦戦中、分解を伴う整備は行うことすらできないガソリンスタンドが多いわけです。

環境変化に応じた油外商品の販売

 さて、昨今の車両は高性能化しているため、整備の際は、スキャンツールと呼ばれる故障診断機が必要なケースが多くなってきています。
 そして、このツールの導入にかかる費用を1事業場あたり15万円まで補助するという、補助金制度(ハイブリッド車等の点検整備の高度化による省エネ推進事業)があります。

 この補助金は、前述の認証工場のみが対象となっていましたが、本日(2018年7月24日)付の日本経済新聞の記事によると、国土交通省は、認証工場の資格がなくても、整備士がいればガソリンスタンドもこの対象に加えることにしました。

 これにより、分解整備はできなくても、スキャンツールで点検することは可能となります。国交省には、自動ブレーキなどのトラブルによる事故が報告されています。給油のついでにスキャンツールで有料点検を行い、異常がなければそれでよいですし、認証工場と提携し、分解を伴う整備が必要な箇所が見つかったら、そこで整備をしてもらい、紹介料をいただくビジネスモデルが考えられます。

 ただし、業界の体質として、新しい商品・仕組みを闇雲に取り入れ、結果として何も変わらないという傾向があります。経営理念やそれに基づく店舗コンセプトの明確化、将来ビジョン、抱えている課題を踏まえて、新たな取組みを設定していただければと思います。
 国土交通省ホームページ

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