1か月でアルバイトを辞めたい
あるガソリンスタンドでアルバイトスタッフとして働く高校生が発した以下の相談内容に触れる機会がありました。
私は、個人経営のガソリンスタンドでアルバイトをしている高校2年生の者ですが、アルバイトは初体験です。先輩の方々から教えられたことをちゃんとこなしているのに店長からは、いつも怒鳴られています。そこで、正直1か月で辞めようかと思っているのですが、募集時に長期で3か月以上と表記されているのを見てアルバイトに応募しました。この場合、1か月でやめても問題はないのでしょうか?
今回のコラムでは、なぜこの高校生が1か月で辞めたくなったのか、アルバイトスタッフの早期退職を防ぐ観点から、考えてみたいと思います。
年間70名のアルバイトに辞められる
それまで長らく職場のナンバー2として、部下をよく怒鳴っていた私が、ガソリンスタンドの店長職に昇進した年の話です。
職場のトップである店長になっても部下を怒鳴り続けた結果、1年間で70名のアルバイトスタッフに辞められました。1年間は52週間ですから、毎週最低1人のアルバイトスタッフが辞めていった計算になります。
アルバイトスタッフは、ナンバー2に怒鳴られても店長に泣きついて、話を聞いてもらったりすることで、なんとか持ちこたえますが、現場のトップである店長に怒鳴られると逃げ場を失います。それだけトップである店長の言葉は重いのです。
そんな私が、店長職を10年以上経験した結果、アルバイトスタッフの定着率が向上しただけでなく、学生のアルバイトスタッフが卒業と同時に正社員になりたい、と申し出るケースが相次ぎ、人材に困らなくなりました。
この背景に存在するのは「傾聴」との出会いだったと感じています。
頭の中を空っぽにして聴く
店長になりたての頃の私は、部下の話を聞く場合、部下の話が終わったら何を言おうか、常に考えながら部下の話を聞いていました。
そんな私が、ひょんなことから「傾聴」に出会い、頭の中を空っぽにして聴くことを心がけるようになりました。頭の中を空っぽにして聴くわけですから、部下に何を言おうか考えながら聞くことはしなくなります。
そして、部下の話をしっかり傾聴していると、質問が降りてくる瞬間があります。その降りてきた質問のほとんどは、部下が深く考えざるを得ない質問でした。
例えば、タイヤ販売がうまくいかない部下の話を傾聴していた時に降りてきた質問は「あなたのタイヤ販売がうまくいくために店長として行えることは何ですか」というものでした。
これにより、アルバイトスタッフは自分で考えるようになります。アルバイトスタッフの話を傾聴し、本人に考えさせるには、店長がアルバイトスタッフをリスペクトしている必要があります。結果として、怒鳴るという行為はなくなり、スタッフの定着率が高まることになります。
アルバイトスタッフがすぐ辞めるガソリンスタンドの特徴とは、店長がアルバイトスタッフをリスペクトできず、怒鳴ってしまう、という点が挙げられるでしょう。リスペクトできなかったら、ご自身の心理ではなく、行動を変えることです。まずは、アルバイトスタッフの声に耳を傾けることから始めてみてはいかがでしょうか。
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