駅前立地のガソリンスタンドが利益を上げ、儲かるようになるには

戦略の考え方

預り車両で溢れるガソリンスタンド

 そのガソリンスタンドは、都内のある駅前に立地していました。駅から徒歩数分の距離であり、周囲には多くの企業オフィスがありました。
 来店客の9割以上が、近隣企業に勤務するサラリーマンで、会社の車で来店されます。来店客のほとんどが法人として同店と売買契約を締結しており、給油代金は、売掛金として処理をし、後日回収していました。

 顧客は来店すると、給油や洗車作業を依頼し、さっさとオフィスへ行ってしまいます。すぐそばが自社オフィスですし、待っている時間があったらオフィスで仕事をして、給油や洗車作業が終わったら車を取りに来れば良い、という考えなのでしょう。さらに店舗の待合室が狭く、居心地が良くないという点も影響していたのだと思います。

 しかし、給油・洗車作業が終わっても、すぐに取りに来ない顧客がほとんどでした。オフィスに戻れば戻ったで、仕事がてんこ盛りの状態であり、預けた車両の給油や洗車作業が終わった頃合いを見計らって都合良くスタンドに車両を取りに来ることが出来ないのです。

 決して広くはない敷地の同店は、そのような預り車両でいつも溢れており、致し方なく路上駐車を行うこともありました。警察や監視員が、路上駐車の取り締まりを行いに来ると、てんてこ舞いで車両を移動させ、彼らがいなくなると、また顧客の車両を路上に駐車をすることが主な仕事になっていました。

同店の付加価値

 顧客にしてみると、給油なり洗車なりを頼めば、あとはオフィスで仕事ができ、好きな時間に取りに行けます。よって、タイヤ交換にせよ、オイル交換にせよ、いずれどこかで交換しなければいけないのであれば、同店にお願いしようという意識が働くので、同店は、油外商品を「お勧めすれば」よく売れました。
 ただし、あくまでも「お勧めすれば」の話です。というのも、店舗スタッフは路上駐車対策に忙しく、油外商品の販売に積極的ではなかったからです。

 同店では、車を預かるという付加価値の提供を継続するために、客単価を上げられないという摩訶不思議な現象が起こっていたわけです。

 路上駐車は違法行為です。違法行為を日常的に行う事業者が提供する付加価値は、真の付加価値ではなく、歪んだものと言えるでしょう。

「三方良し」を考える

 「三方良し」という言葉があります。近江商人が言ったとされる「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の3つの「良し」を指します。商売は、売る側も買う側も、そして世間にとっても良いものであるべき、という考え方です。

 路上駐車対策に忙しいこのガソリンスタンドの商売の仕方は、スタンドと顧客は「良し」なのかもしれません。ですが、路上駐車によって、交差点の見通しが悪くなり、通行車両は、車の陰から飛び出してきた歩行者への対応も遅れがちになります。よって、この商売の仕方は、世間にとっては良くありません。

 ガソリンスタンドの店内に駐車するスペースがないのであれば、駐車場を借りれば済む話です。駅前立地ですから、近隣の駐車場を借りるにもそれなりのコストがかかるでしょう。しかし、それ以上に油外商品で稼げば良い話です。油外商品をお勧めすれば売れることは分かっているのですから。

 コストがかかるからできない、という方がよくいますが、コストをかけないとリターンはない、と心得るべきでしょう。お金を使うということは、お金を受け取る人を発生させる、ということです。そのお金を受け取った人は、違う人に対してお金を使うでしょう。そのようにして、お金は巡り巡って自社に環流するでしょう。
 よって、お金持ちだからお金が使えるのではなく、お金を使うからお金持ちになった、と捉えるべきであり、だからこそ、コストをかけないとリターンはない、と心得るべきと考えます。

 駅前立地のガソリンスタンドが利益を上げ、儲かるようになるには、コンプライアンスに則って車両をお預かりし、かけるべきコストはしっかりかけて、油外商品を販売していくことと言えるでしょう。

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