「褒めること」と「認めること」がモチベーションに及ぼす効果

経営の姿勢

褒めることを推奨する経営者

 複数のロードサイド店舗を展開する経営者とお話しする機会がありました。この企業では、褒めることを推奨しており、従業員が上司からの指示に従った行動を起こすと、上司だけでなく他の従業員が褒めます。また、従業員自身が自分に対する褒め言葉を書く専用の書式も準備し、活用しています。
 限られた時間での情報交換でしたので、申し上げる時間がなかったのですが、この経営者が「褒めること」と「認めること」の違いを認識していたら、この企業はもっと伸びると感じました。

なぜ褒めるのか

 一般に、ビジネスのシーンで従業員を褒める理由は、行動強化のため、育成のためなどの理由があると思いますが、その根底にはモチベーションを向上させるため、というものがあるはずです。なぜなら、その行動をとろうというモチベーションが向上すれば、行動は強化されますし、望ましい行動が強化されれば育成に繋がるからです。

 褒めることによるモチベーションは、その褒め言葉が自分の自信に繋がると解釈された場合に向上します。反面、アメやムチとして、つまりコントロールのツールだと解釈された場合、モチベーションは低下します。

よかれと思ってかけた言葉が逆効果に

 ガソリンスタンドの現場と本社所在地に物理的な距離がある中、経営者はじめ、本社スタッフが現場を査察することはよくあると思います。
 経営者がクーラーの効いた車両で現場に乗り付け、今年の夏のように酷暑が続く中で働く現場スタッフに「暑い中、お疲れ様。」とねぎらいの言葉をかけた場合、その言葉をかけられたスタッフがねぎらってもらったと解釈せず「クーラーの効いた車内で涼しい思いができて、イイご身分だよな、全く。。。」と解釈した場合、このスタッフのモチベーションは下がります。

 また、「よくやってるね」「頑張ってるね」という褒め言葉は、相手に興味がなくても言える言葉ですので、解釈の余地が大きいと言えるでしょう。

 このように、言葉の報酬は、解釈がモチベーションに影響します。よって、言葉の報酬を与える際は、解釈の余地がない言葉、つまり事実をを述べることによってモチベーションが向上すると考えられます。そのためには、相手に興味を持つ必要があります。

 経営者が店長に「昨日の売上は、前年同日より3,000円多かったね」
 店長が部下に「今日の午前中は2名のお客様にありがとうって言われていたね」
 夫が妻に「美容院に行ってきたんだね」

 このような事実、つまり解釈の余地がない言葉をかける行為を「認めること」と言い、コーチングの世界では「アクノレッジ(承認)」と呼ばれます。
 「褒めること」は、解釈によってモチベーションが左右されるのに対して、「認めること」は、モチベーションの維持・向上に安定した効果が発揮されることが期待されることを理解した上で「認めること」を推進していきたいものです。

承認を活用した事例

 年上の部下への対応

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