ガソリンスタンドが「いきなり!ステーキのお願い」をしたら…

リピーターの確保

 ステーキレストランチェーンの「いきなり!ステーキ」が店舗に社長直筆の「お願い」を掲示しました。その内容は、客数が減少しており、来店をしていただけないと店舗を閉めざるを得なくなる、といった内容でした。

 私が21年間身を置いたガソリンスタンドの現場でも、客数は減少の一途です。では、そのようなガソリンスタンドが、今回の「いきなり!ステーキのお願い」を掲示したらどうなるのか、検討してみたいと思います。

ガソリンスタンドが「いきなり!ステーキのお願い」をしたら…「知ったこっちゃない」と言われる

 以上です。次回のコラムをお楽しみに…とここで終わらせてしまっては、読者の方に怒られると思うので、もう少し見ていきます。

なぜ客数が減ったのか

 「いきなり!ステーキ」の客数が減った理由は様々あると思いますが、総括すると、その店舗を必要とする顧客が少なくなったということです。ガソリンスタンドの客数が減った理由も同様で、以前よりもそのガソリンスタンドを必要とする顧客が少なくなった、ということです。

 車を運転しても低燃費でガソリンが減らないですし、電気自動車ならそもそもガソリンが不要なわけです。そして、必要とされなければその店は姿を消すしかありません。

 姿を消したくなければ、必要とされなければいけません。他店よりも自店が必要とされるように仕組まなければいけないわけで、ここに差別的優位性を構築する必要性があります。

キャバクラの差別的優位性

 客数は、新規顧客と既存顧客の合計ですが、キャバ嬢は、既存顧客の来店を促して客数を確保するためのアプローチをします。そのために、メアドの交換やLINEで友達になったりしてアプローチをします。

 そのアプローチでは、来店することにより、美しいアタシはあなたに惚れてしまうかもしれませんよ、とメリットを匂わせます。クラブドルチェのミカ(仮名)は「来店する気がないならLINEに返信するな」と夢も希望もないメッセージを送ってきましたが、そういうのは例外として、来店していただくからには顧客のメリットである差別的優位性を訴求する必要があります。

 キャバクラはお酒で差別化できません。店舗の雰囲気や立地も差別化要因ですが、決定的なのは何と言っても女性です。では、以下でガソリンスタンドの差別化要因は何なのかを見ていきます。

ガソリンスタンドが意識したい差別化要因

 ガソリンスタンドの差別化要因としては、関係性、専門性、経済性が挙げられます。

 関係性とは文字通り、顧客との関係です。これが深く強いと少々のことで顧客は浮気しませんし、ガソリンだけでなく車両全般のメンテナンスまで任せてくれることとなります。そのための方策は以下のコラムを参考にして下さい。
 ガソリンスタンドで顧客との関係性を構築する5つの方法
 価格競争を回避するには

 また、専門性とはその分野であれば、他店よりも詳しい、ということです。特にオイルやタイヤなどガソリン以外の商品に関する専門性を確立することにより、客数だけでなく客単価も向上することとなります。そのための方策は以下のコラムを参考にしてください。
 タイヤ販売で生き残るガソリンスタンドになる3つの方法
 ガソリンスタンドが油外商品の選択と集中ができない3つの理由

 そして、ここでいう経済性とは、単なる安売りではなく、当店でガソリン以外の商品を買うと故障を予防でき、中長期的に経済的だということをしっかり説明できるプレゼン力を指します。その意味においては、前述の関係性や専門性と重複する観点とも言えます。このプレゼン力を向上させる方策は以下のコラムを参考にして下さい。
 エンジンルームの点検を依頼したくなるガソリンスタンドとは
 セルフのガソリンスタンドで積極的に声掛けをするための3条件

 今回のコラムでは、ガソリンスタンドが「いきなり!ステーキのお願い」をしたらどうなるのかから始まり、差別的優位性を構築する必要があるのかを述べました。

 お客様にお願いするのなら、いきなり当店の都合をお願いするのではなく、お客様のメリットを訴求しないと、素敵なお願いとは言えません。いきなり!のお願いはステーキなものではない、ということです。

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