研修やセミナーを受講して成果を出す店長に見られる2つの特徴

人材育成

 研修やセミナーを受講して成果を出す店長の特徴は、1.受講内容を部下にオープンにする、2.受講内容を行動に移すことを予め部下に伝える、という特徴があります。

 経営者が研修やセミナーをセッティングして、傘下店舗の店長を受講させた場合、時間も費用も掛かるわけですから、それに見合う成果を出して欲しいと思うのは当然のことです。ですが、成果を出せる店長と出せない店長が存在します。

 ガソリンスタンドを複数展開する企業に勤務する、ある店長は、業界を取り巻く厳しい環境の中で業績を上げ続けていました。その店長から、ご自身が研修やセミナーを受講した後に、どのようなアクションを取っているかという点について話を伺う機会がありました。
 

 そして、その取組みは、受講に使った費用や時間を十分に補えるもの、という印象を抱かせました。今回のコラムでは、研修やセミナーを受講して、その内容を活かし、成果を出す店長の特徴を見ていきます。

特徴1.受講内容を部下にオープンにする

 この店長は、研修やセミナーを受講して、翌日店舗に出社すると、キーとなっているスタッフと個別にスタッフルームで話をします。

 その内容は、店長である自分は前日に何を学んできたのか、という点です。前日の研修・セミナー資料を使用して、内容をトレースしていきます。これを行うことにより、店長は前日に学んだことの復習ができます。

 エビングハウスの忘却曲線というものがあります。これは、ざっくり言ってしまうと、人は、受け取った情報について、どれくらい時間が経過すればどれくらい忘れるのか、という解釈ができるもので、結論としては、20分経過で42%、1時間経過で56%、1日経過で74%、1週間経過で77%、1ヶ月経過で79%を忘れるとしています。

 それだけ人間は忘れやすいため、新たな知識は復習をしないと定着しにくいとされていますが、この復習の仕方として、この店長は部下へ教えるというアウトプットで実践しているわけです。
 これにより、店長はスタッフと前日の学びを共有できることとなり、受講内容の自身への定着と同時に、スタッフの教育も可能となる取組みになっています。

 その上で、2つめのアクションを起こしますが、その前にこの店長が実際に受講した研修事例を見ていきたいと思います。

コーチング研修を受けて

 ある日、この店長はコーチング研修に参加しました。その中で「承認」の有効性について大きな共感を得ることができました。

 人のモチベーションは、その人の解釈に左右されます。店長から何か言葉をかけられたスタッフが、その言葉により自分が認められたと解釈した場合は、モチベーションが向上し、その言葉により自分をコントロールしようとしていると解釈した場合は、モチベーションが低下するとされています。

 よって、スタッフのモチベーションを向上するには、解釈の余地がない言葉を掛ける必要があることから事実を認める「承認」が有効とされています。

 例えば、スタッフに「今日は出社時間がいつもより早いね」「最近、トイレ掃除を熱心にやっていると同僚のAさんが言っていたよ」「さっき、お客さんにありがとうって言われていたね」という事実を述べることは、解釈の余地がありません。

 これに対して「頑張ってるね」「良くやってるね」という評価を述べることは、解釈によっては、褒めることで自分を上手く動かそうとしている、と捉えられることがあります。よって、事実を述べる「承認」がモチベーション向上に役立ちます。

 このような研修を受講した翌日、店長が以下のアクションを起こしました。

特徴2.受講内容を行動に移すことを予め部下に伝える

 店長は、研修の翌日に職場でスタッフに向かって、上記内容を説明した後に「今日から私は君たちを承認することにした。慣れないことをするので上手くいかないと思うが、よろしく頼む」と言ったのだそうです。

 研修・セミナーを受講すると一時的にテンションが上がります。ですが、翌日からはいつもと変わらない日常が待っており、せっかく学んだ知識やスキルも、日常に飲み込まれがちとなります。

 飲み込まれる理由として挙げられるのは、学んできた新たなことを実施して、失敗したら恥ずかしい、といった心理が働いていることでしょう。よって、この店長は、予め失敗する可能性があることをスタッフに伝え、実行のハードルを下げています。

 研修やセミナーを受講して成果を出す店長に見られる2つの特徴として、1.受講内容を部下にオープンにする、2.受講内容を行動に移すことを予め部下に伝える、ということを見てきました。経営者としては、部下の店長が研修やセミナーを実務で有効活用するためのアドバイスとして使用してみてはいかがでしょうか。

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