儲かる鮮魚店が行っているスーパーとの違いの打ち出し方

戦略の考え方

 ある地方都市にスーパーマーケットのすぐそばに立地している鮮魚店があります。この鮮魚店は近隣のスーパーとの差別的優位性を構築し、高い収益性を得ています。今回のコラムでは、同店の取組みを見ていきます。

1.儲かる鮮魚店が行っているスーパーとの違いの打ち出し方

儲かる鮮魚店が行っているスーパーとの違いの打ち出し方(1)提供する「コト」の違いを明らかにする

 モノ消費コト消費という言葉があります。モノ消費は消費者が「何を買うか」という買うモノに着目した区分であり、魚屋、八百屋、油屋など、提供するモノに「屋」がつきます。これに対してコト消費は消費者が「それを買ってどんなコトを得たいのか」に着目した区分と言えます。

 かつて外国人観光客の「爆買い」という消費行動がありましたが、これはバック、靴といったモノに対する消費でした。ですが、これがひと段落すると「日本文化を体験するコト」を得るために着物を着たり、お茶を点てる体験をしたりするコトにお金を使うようになりました。これは、外国人観光客の消費行動が高度化した結果と言われますが、日本人の消費行動も同様に高度化しているのではないでしょうか。

 つまり、モノ消費からコト消費へ消費活動がシフトした結果、「モノ」に着目する店舗は、時代の流れとともに徐々に衰退してきましたが、ゆっくり自分のペースで買うこと、安く買うこと、1か所で買い物を済ませることを提供して生き残っているスーパーマーケットもあります。

 今回採り上げた鮮魚店は、そのようなスーパーマーケットの近隣に立地していますが、魚を通じて食を楽しんでいただくことを提供しています。このようにスーパーマーケットが提供している「コト」とは異なる「コト」を提供することで、スーパーとの違いを打ち出しています。

儲かる鮮魚店が行っているスーパーとの違いの打ち出し方(2)「コト」を提供するための戦略を検討する

 同店は、魚を通じた食を楽しんでいただくことを提供するために、以下に示した戦略を採っています。

  •  製品戦略:店主のスキルを活かした刺身の盛り合わせ、鮮魚を使った総菜
  •  価格戦略:高価格路線
  •  販売促進戦略:ホームページ、SNS、割引券、新聞折込チラシ、店頭ハンドアウトチラシ

 特に、店主自らが人脈をたどって寿司店へ出向き、お刺身の盛り合わせを造るスキルを向上させていること、鮮魚を使ったイタリア料理やスペイン料理を総菜として提案販売していることが特徴です。これらを、長年の業歴に基づく人間関係とインターネットを活用した販売促進戦略により、魚を通じた食を楽しんでいただくことを提供しています。

 近隣のスーパーマーケットにおいて、人材を寿司店で修業させたり、鮮魚売り場で欧風の総菜を提供したり、高価格路線での提供をしたりということは、見かけません。また、チェーン展開のため店舗独自の販売促進戦略も採ることができていませんでした。そのため、同店とスーパーとの違いがより鮮明になり、魚を通じた食を楽しみたい層の囲い込みに成功したと言えます。

 今回のコラムでは、儲かる鮮魚店が行っているスーパーとの違いの打ち出し方として、(1)提供する「コト」の違いを明らかにする、(2)「コト」を提供するための戦略を検討する、を挙げました。大型店に規模では負けても、利益では負けないように、今回の事例をご参考に売れる仕組みをぜひ構築していただきたいと思います。

2.参考記事

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