街の電気店が廃業による閉店をしないために考えたい3つの方策

戦略の考え方

 ある地方都市の電気店組合から講演のご依頼をいただきました。この組合が抱える課題として、組合員である電気店の廃業による固定客(エンドユーザー)の流出をいかに防ぐかが挙げられます。つまり、組合に所属する電気店の廃業が増えている中、その店舗の固定客が、その後どこで電気製品を買っているかというと、多くの場合、組合に所属していない家電量販店で買っているのだそうです。

 組合としては、所属する電気店が廃業したら、その固定客は組合に所属する他の電気店の固定客になってもらえると、組合としての衰退を防ぐことが可能なわけで、その方策について、街の電気店経営者向けに講演をして欲しいというご依頼です。今回のコラムでは、この講演内容を基に、街の電気店における廃業防止策について見ていきたいと思います。

1.街の電気店が廃業による閉店をしないために考えたい方策

街の電気店が廃業による閉店をしないために考えたい方策1:倒産動向を把握する

 そもそも廃業しなければ、固定客はそのまま固定客でいる可能性は高いわけです。また、仮に行きつけの電気店が廃業したことを受け、組合に所属している他の電気店の固定客になったとしても、そこもすぐに廃業するようだと、資本規模の大きい家電量販店の行きつけになってしまうのは、自然な流れではないでしょうか。

 よって、組合内の顧客を固定化するには、組合に所属する街の電気店が廃業しないことが大前提です。東京商工リサーチの調査によると、平成30年の国内倒産数は8,235件でした。その原因のトップは「販売不振」で、全体の70.4%を占めます。次に多いのが「既往のしわよせ」であり、全体の11.7%、両方で8割以上を占めています。

 なお「既往のしわよせ」とは、経営状態が悪化しているのに対策を講じず、結果として資産を食い潰し、倒産に至ることを指します。では、なぜ経営状態が悪化しているのかというと、倒産原因のトップである「販売不振」に陥っていることが考えられます。

 よって、当然のことながら、販売を強化することが、廃業を回避する最重要ポイントと言えます。ですが、販売を強化しても、他業態の方が魅力的であれば、販売は芳しいものにはならないでしょう。そこで、次のように他業態と自店について検討します。

街の電気店が廃業による閉店をしないために考えたい方策2:自店が有利な土俵で戦う

 Google社のサジェスト検索を活用して調べてみると、インターネットで検索する方のうち「電気店」というワードで検索する方は、「電気店 京都」「電気店 札幌」というように、地域名もセットで検索するケースが多いことが分かっています。

 これは、地域の電気店が地域の住民に必要とされていることを意味しているのではないでしょうか。つまり、地域の住民は、家電量販店やネットショップにはない魅力を街の電気店に求めていると考えられます。

 家電量販店やネットショップと街の電気店との違いは、顧客との関係性の深さです。家電量販店のスタッフは顧客を名前で呼ぶようなことはしませんし、ネットショップでは顧客の顔すら見ることができません。これが街の電気店はできるため、顧客との関係性を構築し、深めていくことが可能です。

 東京都町田市で家電量販店6社に囲まれても高収益企業として生き残った、街の電気店である「でんかのヤマグチ」は、顧客と接する中で、ご主人を亡くしたひとり暮らしの主婦が1人で夕食を摂ることが寂しいと聞くと、顧客と一緒に夕食を摂ります。家族全員で長期間の旅行に行く際に、庭の植木に水をやる人がいないと聞くと、不在時の水やりを行います。

 このような関係性があるので、不毛な価格競争に巻き込まれることなく、家電量販店よりも高い価格設定であっても売れていきます。もっとも関係性を構築するには、接客をしなければなりません。そこで、次に示す集客の仕組みも検討することとなります。

街の電気店が廃業による閉店をしないために考えたい方策3:集客の仕組みを作る

 顧客の来店がないということも販売不振の一因になるわけですが、ここで認識しなければならないことは、「顧客の来店がない」ことが問題なのではなく、「顧客が来店する仕組みがない」ことが問題だということです。

 まず、顧客が来てくれないのなら、店舗から顧客の元へ出向くことです。出向いて家電製品を売る必要はなく、新製品のご案内やイベント情報の提供、世間話でもいいので顧客と会うことです。会う頻度が高くなると、相手に好意を持ちやすくなることをザイオンス効果と言います。

 また、集客するには顧客に来店する理由を与えなければなりません。前述の「でんかのヤマグチ」は様々なイベントを実施して、顧客に来店の理由を与えます。来店してくれれば、購買の可能性はゼロではなくなります。

 前述のように、インターネットで街の電気店は検索対象となっていますので、ホームページも作っておく必要があります。そのホームページには、なぜ当店は電気店を始めたのかという沿革や、なぜ当店が存在するのかという経営理念を示します。これが顧客の来店理由・購買理由にもなり得ます。

 今回のコラムでは、街の電気店が廃業による閉店をしないために考えたい3つの方策として、(1)倒産動向を把握する、(2)自店が有利な土俵で戦う、(3)集客の仕組みを作る、という点を見てきました。

 価格よりも人間関係を重視する顧客は、相当数が存在するはずです。だからこそ「でんかのヤマグチ」は生き残ることができました。地域になくてはならない存在となり、地域住民の生活を豊かにする電気店になることが、生き残りのポイントと考えますが、いかがでしょうか。

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