飲食店の倒産増から生き残るガソリンスタンドの条件を考える

顧客満足

 帝国データバンクによると、飲食店の倒産は2019年1月~11月までに668件発生し、既に2018年の653件を上回りました。過去最多は2017年の707件ですが、このままのペースで推移すると、通年の倒産件数は過去最多を更新することとなってしまいます。

 そして、やはり帝国データバンクが発表した「人手不足に対する企業の動向調査」によると、飲食店の78.3%は、非正規社員について人手不足を感じていると回答しており、人手不足倒産も相当数発生していることが伺えます。

 人手不足と言えばガソリンスタンドも負けていません。私は21年間でガソリンスタンド運営会社7社を渡り歩きました。その7社は1店舗展開の会社もあれば、多店舗展開の会社もあり、後者の場合は転勤がありました。よって、21年間で7社17箇所のガソリンスタンドに身を置きましたが、ほとんどのガソリンスタンドで人手不足に苦しみました。

 同様に慢性的な人手不足で苦しんでいるガソリンスタンドはいまだに多数あるはずです。そこで今回のコラムでは、飲食店とガソリンスタンドの違いを見ていくことにより、生き残るガソリンスタンドの条件を考えていきます。

1.生き残るガソリンスタンドの条件

生き残るガソリンスタンドの条件(1)人材の重要性を理解している

 飲食店とガソリンスタンドの大きな違いは、提供する商品の製造を店内でするかしないかということです。飲食店は、食材を仕入れて料理を製造、つまり調理をします。これに対して、ガソリンスタンドはガソリンを仕入れて、それを加工せずに販売します。

 つまり、飲食店は仕入れた食材を調理することにより、価値を付け加えて販売します。この「食材を美味しく食べることができる」という付加価値があることにより、青果店や鮮魚店、スーパーマーケットよりも高い価格で販売することが可能となります。

 そして、この「食材を美味しく食べることができる」という付加価値は、味だけでなく店舗の雰囲気や接客など「人」が影響を及ぼすはずです。調理する人がいない、料理をテーブルまで運ぶ人がない、汚れた店内を掃除する人がいない、ということであれば「食材を美味しく食べることができる」という付加価値を与えられないのは自明の理です。

 ガソリンスタンドも同様で、ガソリンに人材が何らかの形でかかわって、その付加価値が高いと多くの顧客に認知されれば来店は促進されますから、生き残ることができると言えます。よって、まずは人材の重要性を意識する必要があり、それができていないと人材は入社してもすぐ辞めてしまい、人材不足は一向に解決しないでしょう。

生き残るガソリンスタンドの条件(2)人材採用の目的を明らかにする

 飲食店は仕入れた食材を調理して付加価値を高めていますが、ガソリンスタンドは仕入れたガソリンを加工して付加価値を高めることは困難です。よって、ガソリンという商品ではなく、ガソリンスタンドという店舗の付加価値を高める必要があります。

 その第一候補となるのが「顧客との関係性」です。給油中に談笑したり、空気圧の点検をしたり、顧客の相談に乗ったりすることと言えます。その付加価値が信頼となり、タイヤやオイルといったガソリン以外の商品販売に繋がり、安定した利益を生み出すこととなります。よって、それができる人材を採用し、それができる人材に育てる必要があります。

 これを意識せずに、とにかく募集してきた人を採用しているようであれば、店舗の付加価値は高まりにくいですから、生き残りは厳しくなると言えるでしょう。

生き残るガソリンスタンドの条件(3)既存スタッフの定着率向上に取り組んでいる

 なぜ人材不足になったのかを考えると、既存スタッフの退職が事の発端となっているはずです。よって、まずは既存スタッフの従業員満足を向上させて、定着率を向上させる必要があります。従業員満足のポイントは「標準化」「能力開発」「モチベーション」です。

 標準化を促進させるにはマニュアルの整備の他に経営理念の策定が挙げられますが、以下のコラムを参考にしてください。

 能力開発を充実させるにはOJT(オンザジョブトレーニング:仕事をしながら能力開発を図る)の充実が挙げられますが、以下のコラムを参考にしてください。

 そしてモチベーションを向上させる方策としては、モチベーション理論に基づく「動機づけ要因」への働きかけが挙げられます。

生き残るガソリンスタンドの条件(4)魅力のある募集をする

 募集をかけても応募がないケースのほとんどは、魅力を感じにくい募集内容になっています。この「魅力」は給料の高さだけではありませんので以下のコラムを参考にしてください。

 今回のコラムでは、飲食店の倒産増から考える生き残るガソリンスタンドの条件をとして、(1)人材の重要性を理解している、(2)人材採用の目的を明らかにする、(3)既存スタッフの定着率向上に取り組んでいる、(4)魅力のある募集をする、を見てきました。自店の付加価値を構築し、顧客に提供し、生き残る可能性を高めていっていただきたいと思います。

2.当コラムの解説動画

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