人材が定着せず人手不足に喘ぐ店舗が検討するべき3つの前提

人材確保

 先日、ある男性の4歳当時に体験した以下の話に触れる機会がありました。

 彼の祖父が亡くなった時の話です。当時の彼は、まだ4歳ですから死というものがどういうことなのかよく分かっていません。祖父を荼毘に付す日、母親が言いました。

 「これからおじいちゃんを焼きに行くからね」

 その後、親族一同が火葬場に向かったわけですが、当時4歳のその子は、火葬場に向かう途中の車中で寝てしまい、気が付くと火葬が終わっていました。何が行われたかよく分からないまま、親に連れられて帰宅しましたが、その日の夕食は、亡くなった祖父の大好物だった豚の生姜焼きでした。

 「これからおじいちゃんを焼きに行くからね」という母親の言葉を覚えていたその子は、これを祖父の肉だと思い込んでしまいました。

 「いただきます」一家は食事を始めました。そして食事中に父親が祖父のことを思い出し、泣き出してしまいました。4歳の子も何となく泣いてしまいました。そしてポツリと「おじいちゃん、美味しいね」と言うと、父親は号泣。

 「おじいちゃんが見えるの?」と訊いてきた母親に「目の前にいるもん」という子供。一家で大泣きしながら豚の生姜焼きを食べた、という話です。

 この話、子供と親が持っている前提が違うので、客観的に見ると話は噛み合っていないのですが、子供と親の前提に基づく解釈でやり取りが微妙に成立しています。この話から前提の重要性が見て取れますが、今回のコラムでは、人材の定着について前提が重要である、という点を見ていきたいと思います。

3つの前提

 「給料が安いから」「汚れる仕事だから」経営者や管理職に人手不足の理由を伺うと、こんな回答が返ってくるケースが非常に多いのですが、給料が安くても、汚れる仕事であっても、その職場で平然と働く人もいます。

 そのような人は、給料が安かったり、汚れたりする仕事を好んでいるわけではなく、その職場に合っている人であることがポイントです。よって、自店に合っている人を見つけ、定着させていく必要があります。

 そのためには、①応募者を増やすこと、②自店に合った人を見極めること、③早期退職を防ぐこと、がポイントとなります。応募者がいなければ、自社に合った人かどうか見極めが出来ません。見極めができないと折り合いが悪くて退職してしまいます。折り合いがついても新人は、早期退職のリスクが高いわけです。よって、①は②の前提であり、②は③の前提となります。

 このことは、どれかひとつを強化しても効果は得にくく、①②③全てを強化する必要があるということです。タイヤが4本パンクしているのに、費用と時間をケチってタイヤ1本の修理で走ろうとしても走ることができないのと同じことです。では、それぞれの前提を以下で見ていきます。

人手不足に喘ぐ店舗が検討するべき前提1:応募者を増やすこと

 応募者を増やすには、応募しやすくし、応募してみようと思わせ、実際に面接に来てもらうことです。以下のコラムに詳しく記載していますので参考にして下さい。

 人手不足の企業が応募者を増やす3つの方策
 アルバイトスタッフの応募促進のために履歴書が不要な3つの理由
 募集しても応募がない。自店の人材確保ができない3つの理由
 「何か気になる…」求人広告キャッチコピーを作る5つの方法
 アルバイト応募者の面接すっぽかしを防ぐ5つの対策

人手不足に喘ぐ店舗が検討するべき前提2:自社に合った人を見極めること

 人材は当然のことながら、面接に当たった店長の好き嫌いで雇うのではなく、応募者が自店に合っているかどうかで雇う必要があります。

 では、何をもって「合っている」というのかについて、雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏が述べている「相性の5軸」という考え方を以下のコラムでご紹介していますので参考にして下さい。

 面接官が応募者に投げかけるべき5つの質問
 人材を採用するために行う面接で実施するべき質問の具体例
 応募者と面接する際の質問事項

人手不足に喘ぐ店舗が検討するべき前提3:早期退職を防ぐこと

 自店に合わない人を採用し、定着させようとフォローしても、その効果は限定的です。そのため、自店に合う人を採用し、定着するようにフォローすることで、その人は自店に根を張ってくれるようになります。そのための方策は、以下のコラムを参考にして下さい。

 また辞められた…。アルバイトの早期離職を防ぐ3つの対策
 アルバイトスタッフがすぐ辞めるガソリンスタンドの特徴とは

 今回のコラムでは、退職者が相次ぎ人手不足に喘ぐ店舗が検討するべき3つの前提として、1.応募者を増やすこと、2.自社に合った人を見極めること、3.早期退職を防ぐこと、を見てきました。

 暑い夏も終わってしまえば、消費税率の引上げ、秋祭り、ハロウィン、冬物商戦、クリスマス、歳末、お正月と息つく暇も無く様々なイベントが押し寄せてきます。よって、人材不足に喘ぐ店舗は、今のうちから人材の確保に努める必要があります。

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